甲状腺とは、のどぼとけの下辺りある蝶のような形のした臓器のことです。 甲状腺から「甲状腺ホルモン」という心身を元気にさせるホルモンが分泌されています。 食べ物から得た栄養をエネルギーや体をつくる材料として使われるように促します。 そして、全身の新陳代謝を活発にさせます。 胎児や乳児の場合は、脳の発達にも大きく関わっています。 成長期の子供の場合は、全身の成長を助ける役目をしています。 その甲状腺ホルモンが不足した状態が「甲状腺機能低下症」といいます。 甲状腺機能低下症を起こす原因はいろいろありますが、最も多いのが「橋本病」です。 逆に過剰な状態を「甲状腺機能亢進症」といいます。 甲状腺機能亢進症を起こす原因の最も多いのが「バセドウ病」です。 どちらも必要な治療をすれば、健康なときと同じように生活することができます。 また、女性の場合、妊娠や出産も可能です。 ですから、病気について正しい知識をもって、必要な治療をきちんと受けることが大切です。...
「橋本病」とは、甲状腺が一種の炎症になり、甲状腺が腫れてしまう病気です。 橋本病なら必ず甲状腺機能低下症になるということではありません。 橋本病を発症して10年経過する間に甲状腺機能低下症が起こる人は、全体のおよそ10~20%とされています。 橋本病の人の甲状腺ホルモン量は次の3つの状態があります。 正常・・・橋本病で甲状腺が炎症していても、自覚症状がなく、甲状腺ホルモンは正常に分泌されているので治療の必要はありません。 不足・・・甲状腺ホルモンの分泌量が不足して、甲状腺機能低下症が起こります。 甲状腺ホルモンの分泌量が不足しているため、それを補うための治療が必要になります。 一時的な過不足・・・一時的に甲状腺ホルモンの分泌量が多くなったり、減ったりします。 しかし、多くの場合は自然に治ります。...
「橋本病」を調べるには、血液検査をします。 橋本病特有の「抗体」を測定することでわかります。 「甲状腺機能低下症」を調べるにも血液検査をします。 血液中の「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」の濃度を測定します。 TSHは、脳の下垂体から出ており、甲状腺ホルモンが不足するとTSHが多く分泌され、濃度が上昇します。 ですから、TSHの濃度が高いと甲状腺ホルモンが不足しているということです。 このような検査は、どこの医療機関でも受けることができます。 現在、橋本病の人で甲状腺ホルモン量が正常であっても、いずれ甲状腺機能低下症になるかもしれません。 そのため、TSHの検査を年1~2回は定期的に受けることが大切です。...
甲状腺ホルモンは、ヨードでできています。 そのヨードを取りすぎたとしても、作られる甲状腺ホルモンの量は決められています。 そのため、多すぎたり、少なすぎるということはありません。 しかし、「橋本病」で甲状腺ホルモンの分泌が正常のときは、ヨードを多くとり続けると、逆に甲状腺ホルモンの分泌が少なくなることがあります。 なぜ、このようになるのか理由はわかりません。 一般的に食事でとる量であれば問題はありません。 しかし、ヨードの含有量が特に多い「昆布」「そのだし」などは、毎日取るのを控える必要があります。 ただし、ヨードを取りすぎて、甲状腺ホルモンの分泌が少なくなってしまったとしても、ヨードの取りすぎを中止すれば、およそ2週間で元の状態に戻ります。 成人の場合の1日にヨードの必要量は、およそ0.15mgです。 昆布なら0.05g、ひじきなら0.5g、のりなら2.5gに相当します。...
橋本病や甲状腺機能低下症で現れる自覚症状は次のようなものです。 1.寒さに弱くなります。 2.「気力」「活力」が低下します。 3.体全身にむくみが出ます。 4.皮膚が乾燥します。 5.体重が増加します。 しかし、なかには自覚症状がない人もいます。 また、このような症状があったとしても甲状腺機能低下症でない人もいます。 甲状腺が大きくなるので、首が太く見えるかもしれません。 しかし、首やのどに異常がというわけではないので、痛みや詰まるような症状はありません。 また、コレステロール値が高くなることがあるので、次のような場合は甲状腺機能が低下していないか検査することもあります。 1.何らかの自覚症状がある場合です。 2.首が太く見える場合です。 3.コレステロール値が上昇している場合です。 4.治療をおこなってもコレステロール値が下がらない場合です。...
甲状腺ホルモンの不足については、薬を使用して補います。 薬を使用しても甲状腺で作られるものと同様なので、副作用はほとんどありません。 服用する量が決定したら、その後は定期的に年2~3回ほど検査を受け、服用する量などを確認していきます。 この薬を使用したからといって、特に食事や生活面などでの制限はありません。 ほかの薬と併用することも可能です。 ただし、「鉄剤」「ある種の胃腸薬」を一緒に使用すると効果が低下しますが、服用する時間をずらせば、併用することはできます。 治療したことで、甲状腺ホルモンが正常になると、もともとの体調にまで戻り、元気に過ごせるようになります。 ですから、治療をせず放っておくことは、元気に過ごせる日々を自ら手放しているのです。 また、コレステロール値が高い状態のままでいると、動脈硬化を起こしたり、心臓の働きにまで影響が出る場合もあります。 そして、妊娠や出産などの場合で、甲状腺機能低下症が体に与える影響としては、特に影響はなく妊娠、出産することは可能です。 甲状腺ホルモンの薬は、胎児や授乳中の乳児にも影響を与えることはありません。 ですから、きちんと適切な治療を行うようにしてください。...